2015年03月31日

コートのサイズダウン

あちこちで桜もいよいよ満開になりましたね。

こんなに暖かくなったのに、未だに冬物ネタがアップしきれていません。

ただ、冬中着ていたコートも、この暖かさでやっとお役御免となりましたから、

やっと何の心配もなく、お直しにも出せるというものです。

なので、今回もコートのお直しでいってみます。


こちらのコート、触っただけでわかる!とても上等のカシミア素材です。



デザイン自体はシンプルなのですが、何しろ年月がある程度経っていますので、

大きく肩の張ったシルエット、着丈もたっぷり長めです。

小柄なお客様には、この大きなコートはやはり不釣り合い。



では、お直しで今でも着られるようにしてみましょう。

まずは、一番気になっていた肩のラインです。



いかついくらいに大きな肩パットをまず取り外します。

その分袖の肩のラインが余って浮いてしまうので、肩線で縫い込みます。

そして、肩パットは薄くして付け直してもいいのですが、

このようなラグラン袖の場合は、無理につけなくても大丈夫です。

「私は肩パットが嫌いなの」という方は、外したままでもOKです。

身幅も若干つめて、よりスッキリとしました。

それから、長い着丈も気になっていたそうで、



約20㎝ほどカットさせていただきました。

ただしこちらのデザインは、前ボタンがやや下目についているので、

あまり短くしてしまうと、バランスが悪くなってしまいます。

このくらいの「長めのショートコート」丈がいいと思います。

スカートをあまり穿かず、ボトムスはもっぱらパンツが主という方は、

ロングコートよりも、ショートコートの方が着易いと思いますし、

せっかくお直しするのなら、着用回数も多くなったほうがいいと思います。


それからおまけ。



先のブログにも書きましたが、私の監修した2冊目のお直し本

「手ぬいでちょこっと洋服お直し サイズアップ編」

皆様より一足お先に、版元さんより送られてきました。

もうすぐ本屋さんの店頭に並びます。

見かけられましたら、ぜひお手に取ってご覧ください。

また先になりますが、5月30日(土)には、妙蓮寺の本のオアシス石堂書店さんにて、

なんと出版記念イベントを開催する予定です!

どうぞお楽しみに。


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Posted by ボタン at 20:09Comments(0)お直し

2015年03月29日

次回は「といろまつり」です。

昨日、綱島公園で開催された「桜まつり」に行って来ました。

お天気にも恵まれ、ビックリするほどたくさんの人達で賑わっていました。

先のブログで告知しましたが、今私がお手伝いさせていただいております、

綱島の地域活動支援センター「といろ」さんが出店されていました。



思わずほっこりしてしまう、心和む手刺繍のバッグやポーチやペンケースなどなど…

おかげさまで、多くのお客様が立ち寄ってくださって、作品もたくさん売れていたようです。

良かった良かった!

きっと、「といろ」の皆さんのモチベーションもぐ~んとアップしたのではないでしょうか。

私もつられて、お買い物しました。お家に連れて帰りましたよ。



さ、売れてしまった分は、また頑張って作製しましょう!

お立ち寄りくださいました皆様、ありがとうございました!


ここで「といろ」さんについて少しご説明します。

横浜市では、脳卒中や脳外傷の後遺症による中途障害者の方々が、

地域社会の一員としての自立した生活を目指し、仲間とのふれあいや軽作業、

地域交流を行う「中途障害者地域活動センター」が各区に設置されています。

港北区では、平成3年から『港北根っこの会』が活動してきました。

活動を通して、高次脳機能障害の方々の「働く場が欲しい」という声が高まり、

新たに「といろ」を平成25年3月26日に開所しました。

「といろ」には、「十人十色」の意味が込められています。

受注作業を中心に、みんなで力を合わせて取り組んでいます。

※高次脳機能障害とは…脳卒中や脳外傷などで脳に損傷を受け、

言葉・思考・記憶・行動・学習・注意に障害が起こってしまった状態のことで、

外見にはわかりにくく、「見えない障害」といわれています。

症状の出方も人それぞれ異なります。


以上、参考資料より抜粋しました。

私自身は、ご縁あって、昨年末より、こちらでミシンのかけ方やお裁縫に関する技術の

指導(そんな偉そうなことはしていないのですが…)をさせていただいております。

皆さん、本当に一生懸命に作業に取り組まれていて、

少しずつ、一歩ずつ、技術も向上していってるのがわかり、とても嬉しく思います。

ただ実際は、逆に私自身が様々な貴重な経験・勉強をさせていただいているように思います。

とは言っても、私が「といろ」さんに通っているのは月に数回でしかありません。

毎日お仕事されている職員の皆さんのほうが、ずっと大変だと思います。

頭の下がる思いです。

そして、この仕事にご縁を繋いでいただいた友人には、本当に感謝しています。

もっともっと、お役に立てるには、どうすればよいかを日々考えているところです。


そして、次回は4月17日(金)、18日(土) 午前10時~午後4時

「といろまつり」というイベントが開催される予定です。

場所は、綱島西口商店街催事場(綱島駅西口出てすぐ)です。

こちらもどうぞお楽しみに!


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Posted by ボタン at 20:34Comments(0)その他

2015年03月26日

コートの衿をスッキリと

まず繰り返しになりますが、3月28日(土)はアトリエ臨時休業とさせていただきます。

詳細は、こちらのブログ記事をご確認ください。

ブログネタがだいぶたまってしまったので、どんどんアップしていきます。


今回は、こちらのコートのお直しです。



定番色の黒のロングコートですが、大きな衿が特徴的です。

メーカーさんとしては、この衿のデザインがきっとウリなんだろうと思いますが、



お客様としては、これが気になるところだそうです。

確かに衿の前の重なり具合など、ちょっと着ていてストレスになるかも…

あと、全体に衿が大きすぎるのも難点のようでした。

そこでまず、この衿をリフォームしましょう。

全体に衿幅を少しずつカットして大きさを抑えます。

そして、前の重なり部分もカットして、ごく普通のショールカラーに。



こんなシンプルなカタチになりました。

衿のデザインが変わったので、第一ボタンのボタンホールも作り直しました。



とてもスッキリとした印象になりましたね。

そして、お客様のご希望により、着丈を少しカットして、



ロングコートから、ショートコートに変身しました。

やはり着丈が短くなると、活動的で軽やかな感じになります。

ほぼお客様のご希望通りに仕上がりました。

「これでまた、着る機会も増えそうです。」とうれしいご感想もいただきました。

ありがとうございます。

気になる部分があって着られない服…もったいないですね。

ぜひお気軽にご相談ください。


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Posted by ボタン at 21:11Comments(2)お直し

2015年03月22日

コートのファスナー取替

まずお知らせから。

昨年末より、綱島の地域活動支援センター「といろ」さんで、

高次脳機能障害者の方々に、ミシンやお裁縫などの指導をさせていただいています。



素敵な手刺繍を施したバッグやポーチなどの布小物や組紐作りなど、

皆さん一生懸命に取り組まれています。

来る3月28日(土)、綱島公園で開催される「桜まつり」で、皆さんの作品が販売される予定です。

お近くの皆様、お花見がてらぜひ綱島公園にお出かけください。

一人でも多くの方々に、作品を手に取ってご覧いただければ幸いです。

そして、この日は、私もこちらのイベントに出向く予定です。

このため、申し訳ありませんが、アトリエは臨時休業とさせていただきますので、ご了承ください。


では、お直しのご紹介。

何かと検索の頻度が高いファスナーでいきましょう。

まず、長さの調整から。これはオープンファスナーです。



こんな道具を使って調整しています。

今回は、コイルファスナーといって、ムシの部分がコイル状になったもの。

ファスナーを買う時に、お店で「上留め金具」をもらってください。

※お店によっては有料のところもありますが。

長さをきっちり測って、上留め金具を固定して、余分のコイルを引き抜きます。

これが他のファスナーと違って、ちょっと面倒なのですが、丁寧に行います。

そして、服に付け直しますが、ミシンをかける位置がどのあたりかわからなくなったら、



付いていたファスナーをこうして光に当てて見ると、穴が見えるので、

ミシンのかかっていた位置がだいたいわかります。

また、服を製作する際にファスナーをつける工程と、

既に出来上がっている服のファスナーを取り替える工程は、全く順序が違うので、

どうしても部分的にミシンをかけられない状態になってしまうこともあります。

その場合は、細かく手作業でまつったり、私の場合は和裁の「くけ」みたいな方法でやります。



付け直しが終わりました。

今回のコートは、前のファスナー開きが「比翼仕立」



ファスナーが隠れる仕立て方で、防寒用のコートに多く見られます。

コートのファスナー取替は、かなりの手間がかかりますので、料金もそれなりにかかります。

詳細は、ご遠慮なくお問い合わせください。


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Posted by ボタン at 20:41Comments(0)お直し

2015年03月18日

2冊目の本が出ます!

昨年6月に初めてのお直しの本「手ぬいでちょこっと洋服お直し」を出版しました。

おかげさまで、たいへんご好評をいただき、2度の増刷となりました。

お直しという珍しい分野でありながら、これほどの反響があるとは、正直私も驚きでした。


そして、更にありがたいことに、この度2冊目を発行させていただくはこびとなりました。



「手ぬいでちょこっと洋服お直し サイズアップ編」

産業編集センターより、4月7日発行の予定となります。

今回も、全編に亘り、私チカラ・ボタン(鵜飼睦子)が監修いたしました。

この本の詳細は、こちらをご覧ください。

また、Amazonでもご予約受付中です。


前作では、手ぬいでのお直しの方法、お直し全般についてのことを

たくさんモリモリに掲載しました。

今回の本は、「サイズアップ編」とありますように、読者の皆様よりご要望の多かった

着丈・袖丈などの丈出し、ウェスト・身幅などの幅出し、あきを広げるなど…

快適に着用するための「サイズアップ」をテーマに作りました。

ダーツや縫い代から出したり、足し布をしたり、リメイクの要素を加えたり…

様々な方法を考えて、やってみました。

自分で言うのも何ですが、これだけ専門的な内容を解りやすく書いている本は、

たぶん他にはないだろう!と思っています。

その方法はもちろん、すべて「手ぬい」でご紹介しています。

でも、ミシンが得意な方は、「手ぬい」を「ミシンぬい」に置き換えていただければ大丈夫。

お直しの手引書としてお使いいただければと思います。


こんなに早く、2冊目の本が出せるとは、自分でも思ってもみませんでした。

これも、皆様が応援してくださってのことと、たいへん感謝しております。

本の製作に関しては、まだまだ素人の私ですが、

今回もたくさんの皆様に助けていただき、何とか完成することができました。

編集の青木奈保子さん、カメラマンの柳田隆司さん、

そして産業編集センターの福永恵子さん、その他たくさんの皆様、

本当に本当にありがとうございました!!


また、この本の出版記念イベントなども企画中です。

追って、こちらのブログにもご案内いたしますので、どうぞお楽しみに。

早ければ、4月早々には、書店の店頭に並ぶかもしれません。

ぜひ、お手に取って読んでみてください!


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Posted by ボタン at 18:57Comments(2)その他

2015年03月12日

スラックスの内股すり切れ修理

チカラ・ボタンの修理は、おかげさまで、お客様からも高い評価をいただいております。

今までにも何度かご紹介しましたが、今回はこちらを詳しくご案内いたします。


スラックスの内股すり切れ修理です。

すり切れてしまった部分に裏から当て布をして、ミシンステッチで細かく刺していきます。

仕上りの裏側を上から見ると、



真ん中に見えるグレーの生地が当て布です。

もう少し近くから見ると、



当て布は、実際のキズより大きめに当てます。

キズの周りも生地がかなり薄くなってしまっているので、

その周りも修理しておかないと、またすぐに破れてしまいますから。

そして、右上に見える薄いグレーの生地は「シック」といいます。

このシックは、新品を買う時にお店に頼めば、たいてい大きめのものに付け替えてくれます。

今回は、このシックも穴が開いてしまっていたので、作り替えました。

もっと近寄って見ると、



当て布は、周囲がほつれないようにロックで始末しています。

そして、ミシンステッチは布の端ギリギリまでかけています。

よく他のお店だと、やたら大きな当て布で周りが余ってパカパカしていることがありますが、

あれだときっと履き心地がよくないんじゃないだろうか…と思い、

私はこのようにやっています。

表側から見ると、



このようになります。


こちらも同じ内股すり切れ修理です。



やはり裏側はこんな感じ。もちろん左右両方ともやります。

表側は、このようになります。



修理はその場凌ぎでなく、できるだけ丈夫に美しく…と心掛けています。


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Posted by ボタン at 19:28Comments(0)お直し

2015年03月04日

巻きスカートのベルト取替

3月に入り、いよいよ花粉の季節がやってきました。

いつも糸くずやホコリにまみれているお直し屋としては、とても辛い季節ですが、

何とかかんとか頑張っております。


今回のお直しは、私としてはちょっと珍しいお直しです。



こちらは、何だかわかりますでしょうか?

はい、巻きスカートの前を留めている、ベルトです。

元の素材が合成皮革だったようで、何度もクリーニングしているうちに、

表面が劣化して、こんな状態になってしまったようです。

合皮はこのような特性があるため、クリーニングでのトラブルも多いようです。

私もそれがらみのクレームを受けたクリーニング店さんから、

お直しを頼まれたことが何度かあります。

パイピングなど部分的に合皮を使っていたものが多かったのですが、

今回のようなベルト自体の作り直しというのは初めてでした。

まず使用した素材ですが、やはり今後のことを考えると、本革がいいのではないかと。

ただ、革素材をほとんど手掛けたことがないので…どうしようか…

ここは、専門家に聞くのが一番と思い、近所の靴修理屋さんに行きました。

こちらのお店には、もちろん靴の修理でお世話になっていますが、

チカラ・ボタンのフライヤーもお言葉に甘えて置かせていただいております。



いろいろアドバイスをいただいて、何とかカタチになりました。

製作したパーツをスカート本体に縫い付けて、



やっとこのように仕上がりました。

お客様、そして靴修理屋さん、ありがとうございました!


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Posted by ボタン at 19:52Comments(2)お直し