2014年03月20日

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

最近ではあまり見かけなくなった、上質のウール素材のコート。

「圧縮リバーシブル」という特殊な素材で、解説するのも長くなるため、

今回は前編・後編の2回に分けてアップします。


お客様もずっと捨てずに保管されていて、どうにも着られずお悩みでした。

問題のこちらのコート。

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

一番気になるのは、袖山タックのデザインと、全体の身幅の大きさ。

ただ触っただけで、すごくいい素材ということがわかるので、何とか着たい。

毎年、冬になると出して着てみようとしても、どうしても着られなくて…

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

お客様がとても悩んでいらっしゃるのがよくわかりました。

何とかしてご着用できるようにお直ししなければ。


ただ一番の問題が、この「圧縮リバーシブル」素材の扱いの手間です。

一見すると普通のウール素材のように見えますが、

実は、通常の倍以上の工程が必要なんです。

縫い合わせの例をご説明すると、

まず、この生地は2枚の生地が糸で綴じて1枚の生地になっているので、

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

生地の間にハサミを入れて、それぞれの生地を必要な分量だけ開きます。

そして、一方の生地と相方の生地とをミシンで縫い合わせて、

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

更に、今のミシン目にもう片方の生地を折ってのせて、細か~く手でまつります。

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

ですので、通常のロックミシンの始末はいたしません。

考えただけでも気が遠くなるような作業です。

表側から見ると、こんな感じです。

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

これだけ手間がかかりますので、料金もそれなりに高額になります。

お直し屋さんによっては、承りを断られることもあるようです。


とりあえず、気になっておられた袖山のタック

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

取り外して、ノーマルな袖山に変更終了しました。

圧縮リバーシブル素材コートのお直し 前編

それによって、袖幅も少しボリュームダウンできました。

身幅もご希望分つめまして、一旦完了。

でも、実はまだ続きがあります。

それは、次回後編でまたご紹介します。


横浜・菊名の洋服お直しアトリエ&教室 チカラ・ボタン



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Posted by ボタン at 19:07│Comments(0)お直し
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